身元不明とは?
言葉の通り、身元不明とはどこに住んでいる誰なのかわからないなど人物を特定できない遺体などを指します。
自ら行方不明になり命を絶ってしまった場合、あえて自分の身元につながるような所持品を持たないという方も多くいます。
身元不明者の情報は、年間1,000件以上にも及びますが、その遺体の多くが自殺です。
自ら身元を明かすことを恐れて免許証や携帯電話、財布など身元が判明するものは持っていません。
そのため、身元特定を行うことは非常に難しいといえるでしょう。
警視庁内ではさまざまな方法で身元不明者を特定するために身元調査を行いますが、その一つに似顔絵を作成する方法があります。
生前はどんな人物であったのかをイメージしながら似顔絵を作成し公開することで広く情報を集めているのです。
現在、警視庁では、身元不明者の手がかりになる情報を随時集めています。
また、身元不明者を出さないために探偵事務所などに相談し、行方不明になってしまった家族を早期に探し出すということも解決の糸口になるでしょう。
遺体から身元を特定することはとても難しい
現在、警察で受理している身元不明に関する相談件数は年々増えています。
全国におよそ20,000人もいるといわれている身元不明者は、都心だけで数えても驚くことに3,000人にも及んでいるのです。
身元不明者の多くは、遺体だけでその人物を特定することは困難です。
わずかな手がかりをもとにどんな人物であったかを特定しなければいけません。
警視庁には、わずかな手がかりをもとに身元を捜査する専門の部署があります。
最新の鑑定技術を駆使し故人の生前の顔を特定できるよう作業を進めていくのです。
年間数千万の身元不明の遺体と向き合い人物を特定していますが、努力を重ねたものの、いまだ身元を特定できず警視庁内の寺院などに遺骨が安置されているケースもあります。
身元不明者の遺体からどんな人物であったのかを特定するには、まず顔の特徴を調べます。
さらに歯の治療痕も身元特定の大きな鍵となるでしょう。
中には、故人が身に着けていた時計やアクセサリーなどの貴金属の型番などから身元を特定することもあります。
警視庁が行う身元不明者の特定
長期間にわたり家族と連絡が取れないと警察に相談するケースも少なくありません。
家族からの問い合わせによって身元不明人を特定できる場合もあります。
身元不明者の家族から聞き取りを行い、行方不明になった時期や顔立ち、歯の治療歴などを調べることで警視庁に保管されているデータベースと一致したという事例もあるのです。
近年では、DNA鑑定を行い、スムーズに身元不明者の特定に成功したというケースもありました。
時代の移り変わりによりさまざまな技術が採り入れられたことから、以前と比べると格段に身元特定の可能性は高まっているといえるでしょう。
身元不明者が増えてしまう理由
警視庁に行方不明届が年に何件くらい出されているかをご存知でしょうか。
実は、1年間に85,000人もの行方不明届が出されているのです。
これだけ多くの行方不明届が出されていますが、多くは短期間での生存確認に至っています。
しかし、残念ながら遺体として発見されてしまうケースもあります。
年間数千人が行方も遺体も発見されることなく解決には至っていません。
中には、遺体で発見されたものの、身元を特定できる所持品を身に着けていないこともあるでしょう。
免許証や携帯電話など身元を特定できる所持品を身に着けていれば早期解決に至るケースも少なくありません。
しかしながら、免許証や携帯電話だけでなく行方不明届が親族から出されていない場合、今よりも身元不明者が増えてしまうことを避けることは困難です。